のぶとらコラムX
アイヌ文化とイオマンテの儀礼
平成17年9月28日
なつメロで「イオマンテの夜」という歌がある。
ずっと前だが、宴会でこの歌を元警察幹部が上手によく歌ってたのが思い出
される。歌でイオマンテという単語を知っていたわけだが、その深い意味は
今までわからずじまいであった。
小生は産経新聞の愛読者だが、下記のコラムが興味深くここに紹介したい。
平成17年(2005)3月26日
産経新聞 文化欄 「イオマンテの儀礼」
童話作家 寮美千子(りょうみちこ)氏
<要約>
『日本の先住民であるアイヌに、有名な熊送りの儀礼「イオマンテ」がある。
これは熊にとっては非常に残酷なので、現在は殆ど行われなくなったという。
アイヌにとって植物も兎も鹿も熊も万物がカムイ(神)である。
だから豊富な獲物にも、しとめたら必ず感謝の祈りを捧げるという。
獲物の頂点である熊に対しては特別な祈り「イオマンテ」を捧げる。
イオマンテはカムイである万物への感謝を象徴するアイヌの儀式なのだ。
アイヌは山で生け捕ってきた小熊を家族同然に可愛がって育てる。
それを1〜2年後のイオマンテの儀礼で祭りの輪の中で矢を放ち、2本の
丸太でギロチンにし息の根を止めるのだ。
そして小熊の命を奪った後、アイヌはカムイへの感謝の歌や踊り、また
たくさんのお供えを捧げるのだ。
どうして我が子のごとく育てた小熊を殺してしまうのか。
神話の世界では母熊のもとへ小熊を送り返すことにはなっているが、
アイヌにしてみても可愛がってきた愛らしい小熊を我が手で殺すのは本当に
忍びなく、目に涙して、身のちぎれるつらい思いをしてとりおこなうのだ。
人間が食する一切れの肉であっても、それは尊い生命の犠牲の上にある
ということをあらためてみんなで確認する、感謝するための儀礼なのだ。
たとえ熊であっても命の重さは人の命となんら変わらない。
だから、神話世界の熊のカムイは人と同じ姿をしているそうだ。』
という内容である。
一切れのお肉を食するときには、その生命に思いを馳せ感謝していただきましょう。
人間も熊も神の子
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