A火事を吠えて教えた甲斐犬  
        
昭和48年(1973)6月4日 報知新聞


 5月24日午前一時半ごろ、大阪住吉区平林5-2

大沼木材(津波謙吉社長)のオガクズ小屋から出火

した。 火元の隣は同社の寮になっており、当時

13名が就寝していた。ちょうど寝入りばなであったが、

その一人、宮里健祐さん(42才)は、

 「普段ほとんど吠えない犬が、うるさく吠えて目が覚め

ました。犬が入れられてたのは壁が四つもはなれた目立て場だったのに、

どうして火事が分かったんですかね。全く犬のお陰で助かりました。」

 この殊勲の犬は、同社の専務・清水嘉久さん(32才)が、猟用に飼って

いる2頭の甲斐犬だ。清水さんは

 「犬の居た目立て場から火元までは、20メートルも離れていたのですから

火事に感づいて吠えたとしか思えないんです。目立て場の近くには、

フロ場があり、廃材で焚くのですが、普段これにはウンともスンとも言わない

んです。同じ木が焼ける臭いを、どうして火事だと嗅ぎ分けたのか、これが

分かりません。」

 甲斐犬は番犬・猟犬として優れているのは良く知られているが、火事の

警告までやってのけた訳だ。

ホームに戻る
次頁